5分で読める
健康コラム
vol.15 睡眠が健康に及ぼす影響とは?

産業医コラム

vol.15 睡眠が健康に及ぼす影響とは?

人間が活動するうえで欠かすことのできない「睡眠」。睡眠には、心身の疲労を回復するだけでなく、記憶の整理をする、免疫力を上げる、脳の老廃物を除去する、などの働きがあります。睡眠不足や睡眠の質の悪化は生活習慣病のリスクになり、不眠がうつ病などの心の病に繋がることも分かってきました。そこで今回のコラムでは、睡眠をテーマにお話させていただきます。


夜ぐっすり眠るために不可欠なこと

そもそも人間には生まれつき体内時計が備わっており、それが24時間より少し長いため、毎日リセットする必要があると言われています。
リセットするには、朝起きたら最初に陽の光を浴びることです。リセットには2,500lx以上の光が必要とされていますが、太陽の光は曇りの日でも5,000~10,000lxはあるので十分と言えます。晴天の日は室内でも窓際であれば十分な採光が得られます。
また、朝20分程度日光を積極的に浴びることで、脳内にセロトニンの分泌が促され、それが夜眠るために必要なメラトニンの分泌に繋がります。つまり、毎朝起床時に太陽の光を浴びることが、夜ぐっすり眠るために不可欠なことなのです。


睡眠不足について

次に、睡眠不足についてですが、欧米に比べ日本人の睡眠時間は短いとの報告があり、特に就業年齢層で顕著に表れています。極端な睡眠不足状態が2日続くと作業効率が低下することが分かっています。時間外労働が長くなれば、削られるのは睡眠時間です。自分では気付かなくとも睡眠不足による注意力・集中力の低下から生産性の低下に繋がり、労働災害などの重大な事故の危険性を高めます。
「寝溜め」という言葉がありますが、実際は眠りを溜めることはできません。睡眠不足が続くと、短期間での回復は困難です。日曜に昼まで寝るような生活をしてしまうと、体内時計が狂い、夜は寝付けず、月曜の朝は所謂「時差ぼけ」の状態になってしまいます。
睡眠不足を補うには「昼寝」がお勧めです。昼食後、20~30分程度の昼寝は午後の作業効率アップに効果的です。


睡眠の質の悪化について

睡眠の質の悪化については、その原因の一つに「睡眠時無呼吸症候群」があります。睡眠中に呼吸が頻回に停止することで、血中の酸素濃度が低下し、交感神経の緊張や代謝異常で血管障害が進み、数年後には高血圧・脳血管障害・虚血心疾患などを引き起こすと考えられています。
治療せずに放置した場合、8年後の生存率が60%(つまり40%は死亡)という報告もあります。肥満の人に多い病態ではありますが、最近では痩せた人にも増えてきており注意が必要です。外来で簡易キットを用いた診断が可能なクリニックも増えており、もちろん継続して治療を受けることも可能ですので、不安がある人は早めの受診をお勧めします。


うつ病について

うつ病については、9割近くの人が何らかの不眠症状を伴うと言われています。早朝覚醒、中途覚醒、熟睡感の喪失などの睡眠障害は、うつ病のサインかもしれません。日中の抑うつ気分が続くようなら、躊躇わず専門医を受診しましょう。


良質かつ十分な睡眠の確保

睡眠不足、睡眠障害は確実に私たちの健康を蝕みます。平素から規則正しい生活を心掛け、良質かつ十分な睡眠の確保を目指しましょう。


参考

厚生労働省健康局『健康づくりのための睡眠指針2014(平成26年3月)』
厚生労働省健康情報サイト「e-ヘルスネット」内記事『睡眠と生活習慣病との深い関係』など

ご不明点や相談についてはお気軽に下記までお問い合わせください
メール(info@sangyoueisei.co.jp)もしくはお電話(0120-95-1824)でお問い合わせください。

ご相談・資料請求など
まずはお気軽に
お問い合わせください。

お電話でのお問い合わせ

  • 0120-95-1824
  • 受付時間:平日9:00~18:00
    ※お電話の場合は10:00~17:00

インターネットでお問い合わせ

お問い合わせ